ま*****さんのレビュー一覧
死役所
なんとなく敬遠していたのですが、ツイッターでとある1話を読んで読みました。どれもこれも面白い。どれもこれもどうしようもないけれど救いもある。
亡くなった方は死んだ時の姿なので、そういうスプラッタ描写が苦手な方はご注意。
「カニの生き方」が一番好きでした。数々の相方を失った芸人さんたちの顔が脳裏をよぎった。
死を扱う以上死刑や犯罪や裁判や宗教や薬物依存や摂食障害などハードな話がずっと続き、救いのある話の方が少なく感じるので心の余裕がある時におすすめ。
同性愛は相手が倒れても権利がないから付き添えないとか煽り運転からの死とか新興宗教とかこの世のきっついところをたくさん見せてくるのに、読後感はそう悪くない(時々ひどいのがあるけどそれもまた味)のが不思議。
34
ミスター味っ子Ⅱ
陽一が主人公の1ではあまり描かれなかった「店を経営すること(=コスト、人数をさばくなど)」「長い時間の被災した避難所での食事」「次代を育てること」「食文化の多様性と互いに認め合い育て合うこと」「安くて旨いを求めてしまう客としわ寄せが行く農家の苦境」がみっしり描かれています。
どちらかというと奇抜なアイデアや旨い時の表情表現が楽しかった(それも魅力!)味っ子1や将太の寿司と比べると大人しく見えてしまうかもしれませんね。
お馴染みのあの人やあの人の成長した姿よりも、陽一の息子陽太とその仲間たち、陽一が才能を見出したシオンとアランの成長などがみずみずしく楽しいです。
苦労したがゆえに冷めた目をして突き放し気味なタッキーが最高に好き。
喰いタンの高野先生もゲストでちょこちょこ出てきたり。
30
聖女(マドンナ)はスノウ・ホワイト
表題作は「聖女殺人事件」を先に読まないと何がなんだかわからなくなるので先に読んでください。サスペンス…かな?ミステリーではないですね。謎解きとかはないので。
赤星学園の話はありえないギャグではあるのですが貧乏だからバイトして生活するけどバイトすると成績が悪くなって悪循環、とか貧乏人で成績が悪いと「翔んで埼玉」みたくとてつもない差別されてしまうとかスッキリとは読めなかったです。
最後の森の中の学校の話が一番好きです。どの作品もどうにもヒーローがなんもしてないイケメンで添え物感があってあまりのめり込めず。
子供のことですぐキーキー言うオバサンとかのステレオタイプも当時としては当たり前の表現だったのでしょうが今読むとキツいものがある。
5
レズと七人の彼女たち
やっぱり語るべきは「七者面談」の話でしょうか。
中村先生の彼女さんたちだからお互いが好みストライクということも当然あって、恋敵のはずなのに「浮気する気持ちわかる」「むしろ私と付き合って」という言葉がバンバン出てくるという…
中村先生含め全員魅力的すぎます。
みんな生きてて楽しそうだな、という感想を持ったのですが、すぐ引っ込めました。彼女たちはそうして笑える前には本当に全員とてつもない苦労をしているので。
なんと中にはエリザさんという外国人の方もいて、「私たち日本語でずっと喋っちゃったね、配慮が足りなかった」と後悔を吐露した時に、ああこの人たちはすごいな…と感動してしまいました。
七人とありますがうち一人は亡くなっていて、「お母さん二人いてもいいかな」で語られています。
うらやましいという感情が正しいのかわからないけれど、こうして共にいる相手がいることがうらやましい…と思いました。
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